危険ドラッグを使ったり、吸引後に交通事故を起こしたりして全国の警察が2014年に摘発した人数は840人で、前年の約4.8倍だったことが5日、警察庁のまとめで分かった。摘発した事件は約5.6倍の706件だった。中国から原料が輸入されるケースが増えていることもわかった。法規制の強化が進んでおり、同庁は「今後も関係機関と連携して摘発を進める」としている。
昨年4月の旧薬事法改正で、危険ドラッグの単純所持や使用が禁止された。同庁によると、摘発者のうち326人が単純所持や使用で摘発された。
このほか危険ドラッグを吸引したとみられ、その後交通事故を起こして摘発されたのは160人だった。事故による死者は4人で、香川県で下校中の女子小学生が亡くなるなど、いずれも巻き込まれた被害者だった。重軽傷は131人だった。危険ドラッグの吸引が原因とみられる死者も112人に上った。
一方、危険ドラッグの製造拠点として11府県の13カ所が摘発された。全てのケースで中国から原料が輸入されていた。同庁は「原料は中国国内で合法のものもあれば、違法なものもある」とみている。
警察庁の金高雅仁長官は2月に東京都内で開かれた国際会議で、「危険ドラッグの脅威が世界規模で拡大している」と、国際連携強化の重要性を訴えた。日本の税関当局なども水際対策を強化している。
販売については、各地の自治体などが危険ドラッグ販売店への立ち入りを進めた結果、14年中に確認された95店舗のうち91店が廃業した。
また、いわゆる「乱用者」として摘発された人の購入先を調べると、店舗や街頭が58.0%、インターネットは19.7%だった。乱用者の9割以上が男性。平均年齢は33.4歳と、覚醒剤(41.7歳)より若かった。