警視庁と東京税関が押収した約152キロの覚醒剤=昨年12月、東京都江東区
全国の税関が昨年に押収した密輸入の覚醒剤が、総量で1トンを超えたことが捜査関係者などへの取材でわかった。100キロを超える大型密輸の摘発が相次ぎ、財務省の統計によると、1トンを超えるのは1999年以来2度目となる。
昨年は2月に鹿児島市で約100キロ、5月に那覇市で約600キロ、10月に東京都江東区で約152キロと、各地の港で大量の押収があった。中国や台湾などから出港したとみられる船に積まれていた。2013年に全国で計859キロを押収したが、ここ数年は400~500キロほどだった。
昨夏には神奈川県警と横浜税関が、横浜港で230キロを押収した。メキシコからのコンテナ内の鉄パイプに詰められた覚醒剤を横浜税関の職員が発見。県警が中身を入れ替え、行き先を捜査したところ、埼玉県加須市の資材置き場に運び込まれた後、相模原市の倉庫へ。張り込みの末、昨年12月にメキシコ人の男女が中身を取り出そうとしたところを逮捕し、転送先の契約者だったブラジル人の男とともに起訴されたという。
「手荷物に隠して入国する従来の手口では、逮捕の危険が高いのに、持ち込める量は少ない。大きなリスクを負っても、大量に持ち込もうとする傾向が目立つ」と捜査関係者は話す。末端価格は1キロあたり約7千万円で、それほど変化していないという。(照屋健)