ノバルティスファーマの高血圧症治療薬ディオバンを巡る臨床研究データ操作事件で、京都府立医大の男性医師が東京地検特捜部の任意聴取に「患者データに架空の症状を加筆した」と説明していたことが、関係者への取材で分かった。
同事件では、改ざんデータを論文に掲載させたとして同社元社員、白橋伸雄被告(64)が旧薬事法違反(誇大広告)罪で昨年7月に起訴された。臨床研究に関わった大学側の医師の事件への関与は明らかになっておらず、特捜部はこの男性医師についても加筆が論文にどの程度影響したか不明として立件を見送った。
関係者によると、京都府立医大でのディオバンの臨床研究では2004~09年に患者約3千人分の症例を集めた。男性医師は特捜部の任意聴取に「症例の一部について架空の症状を加筆していた」と説明した。ディオバンに有利になるような加筆は否定したという。
京都府立医大は「大学側の調査では確認されていない」としている。