11日午前の東京外国為替市場で円相場は反発した。12時時点は1ドル=121円35~38銭近辺と前日17時時点に比べ43銭の円高・ドル安水準で推移している。前日の米株相場の大幅下落などを受けて投資家のリスク回避志向が強まり、朝方を中心に円買い・ドル売りが優勢となった。半面、日本株相場が堅調に推移し、円の上値を抑えた。
朝方は円買い・ドル売りが強く、8時30分すぎに120円85銭近辺を付けた。前日の米株市場でダウ工業株30種平均が今年最大の下げとなったことに加え、米長期債の利回りが低下(価格は上昇)して日米の金利差縮小が意識された。米株の大幅下落で投資家のリスク回避姿勢が強まるとの見方も朝方の円買い材料となった。
ただ、日本株が朝安後、上げに転じて上げ幅が一時100円を超して堅調に推移すると、円買い・ドル売りの動きが鈍った。正午にかけて円は上げ幅を一段と縮め、11時45分前には121円45銭近辺の安値を付けた。
9~12時の円の高値は121円02銭近辺。値幅は43銭程度だった。
円は対ユーロで大幅に反発した。12時時点は1ユーロ=129円67~70銭近辺と、同1円88銭の円高・ユーロ安水準で推移している。2013年8月以来、およそ1年半ぶりの円高・ユーロ安水準。欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和政策に基づいて9日から国債の買い入れを開始。ユーロが主要通貨に対して売られた流れから、円の対ユーロ相場は強含んだ。
ユーロは対ドルで大幅に続落。12時時点は1ユーロ=1.0683~86ドル近辺と同0.0119ドルのユーロ安・ドル高水準で推移している。2003年4月以来、ほぼ12年ぶりのユーロ安・ドル高水準となっている。米欧の金融政策の違いから、ユーロ安傾向が対ドルでも進んでいる。
豪ドルの対米ドル相場も弱含み、12時すぎに一時、1豪ドル=0.7593米ドル近辺と09年5月18日以来、約5年10カ月ぶり安値を付けた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕