メキシコ市で22日、演説するメキシコのビデガライ外相=ロイター
メキシコから越境した不法移民を国籍を問わずメキシコ側に送り返すとした米トランプ政権の新指針を巡り、メキシコのビデガライ外相は22日、「前例がない一方的な内容で受け入れられない」との考えを明らかにした。この日からメキシコを訪問している米国のケリー国土安全保障長官、ティラーソン国務長官との会談でも協議される見通しだ。
米政府は21日、不法移民の取り締まり強化を打ち出し、メキシコとの国境から入国した不法移民はすべてメキシコ側に送還すると表明。メキシコメディアによると、ビデガライ氏は記者会見で「メキシコ国籍以外の人を我が国が受け入れる理由はない」と批判。「米国側には、送還者の国籍の証明を求めることになる。国境の統制権は我々にもある」と反発した。
順調な経済成長を背景にメキシコからの不法移民は減少傾向にあるが、中米諸国からメキシコを通って米国に入国する人は近年増え続けている。昨年は9月までだけで50万人に上ったとされ、メキシコ側には、一律に自国に送還されれば大きな負担になりかねないとの危機感もある。