26日、星条旗を掲げてザグレブ中心部の広場を行進するクロアチアの極右政党支持者ら=AFP時事
旧ユーゴスラビア・クロアチアの首都ザグレブで、第2次大戦中の親ナチス政権をたたえる極右政党が星条旗を掲げて行進し、米国大使館が27日に抗議声明を出す騒ぎがあった。極右政党はトランプ米大統領支持を表明するが、米大使館は「ナチス・ドイツと戦い、欧州で死んだ18万6千人の米兵と、数百万の罪のない犠牲者に対する侮辱だ」と反発している。
現地からの報道によると、極右政党「右派原住クロアチア人党」(A―HSP)のメンバー数十人が26日、星条旗やクロアチア国旗、ドイツのネオ・ナチ組織の旗を掲げ、黒ずくめの服装でザグレブ中心部の広場を行進した。
メンバーは、第2次大戦中のクロアチアでユダヤ系やセルビア系など少数派住民らを大量虐殺した民族主義組織「ウスタシャ」のスローガンを繰り返し、「トランプ万歳」とも唱えたという。米大使館は声明で、「米国と憎しみのイデオロギーを結びつけるいかなる試みも批判する」とした。
A―HSP党首はこれまで、トランプ大統領の排外主義的な移民政策を称賛してきた。また、隣国セルビアでも親ロシアの極右政党「急進党」が昨年の米大統領選以来、トランプ氏に強い支持を表明している。1990年代の旧ユーゴスラビア紛争など、激しい民族対立を繰り広げてきた両国の極右勢力が、同じ外国人政治家を称賛するのは極めてめずらしい。(ウィーン=喜田尚)