京都大学の戸口田淳也教授らは12日、筋肉組織の一部が骨に変わる難病の医薬品開発につながる手法を開発したと発表した。病態を再現したiPS細胞と正常な細胞を比べながら、治療に役立つ薬を探す。治療法が無い骨の難病の克服につながる。
対象となるのは、進行性骨化性線維異形成症(FOP)という筋肉組織の一部が骨に変わる難病。国内に数十人の患者がいるが、有効な治療薬が無い。
FOPの患者の皮膚から作ったiPS細胞を分化させたところ大きな軟骨を作ったが、病気の原因になる遺伝子を組み換えたところ軟骨が小さくなった。患者のiPS細胞に様々な薬を与え、軟骨の大きさを調べれば薬の効き目が確認できる。
患者から作ったiPS細胞を使い、病気の原因遺伝子の働きを妨げたり、軟骨ができるのを防いだりする薬を探せば、FOPの治療法確立につながる。
FOPと闘病中の兵庫県明石市の高校2年山本育海さん(17)は12日、明石市役所で記者会見し「研究が進むのはうれしい。薬ができるのはまだまだ先だと思うが、これからも頑張ってほしい」と期待を寄せた。同席した母の智子さん(41)も「息子の病気の進行はとても早い。進行を抑えられるような研究に期待したい」と話した。