文部科学省は13日、川崎市の中学1年、上村遼太君(13)の殺害事件を受けて行った児童生徒の安全に関する緊急調査結果を公表した。連絡が取れないなどの理由により、小中高校などの計400人が「生命や身体に被害が生じる恐れがある」と報告された。同省は警察などと連携してこうした児童生徒の安全確認を進め、必要な対応を取るよう各学校に指示した。
結果は同日、事件の再発防止策を検討している文科省の対策会議に報告された。
川崎市の事件では、上村君が不登校状態で、学校側は暴行などを把握していなかった。同省は類似事案を調べるため、(1)7日間以上連続で学校側が連絡を取れない(2)非行グループとの関わりが疑われる、という2つの理由で「生命または身体に被害が生じる恐れがある」と各学校が判断した児童生徒数の報告を求めた。
結果によると、連絡が取れず安否確認ができない児童生徒は232人。一部の教育委員会に聞き取り調査したところ、不登校状態で保護者の協力が得られず面会できなかったり、家族全員の所在が分からなかったりする事例があった。
学校外で非行グループとの関わりが疑われるケースは168人。学校の先輩を通じて暴走族と交際があり、過去に仲間内で暴行を受けた事例などがあった。
400人の内訳は中学生が243人で6割を占め、高校生75人、小学生74人などだった。都道府県別では大阪府が最多の65人で、静岡県60人、東京都36人、福岡県29人と続いた。12県は「0人」と回答した。
文科省は各学校に対し、こうした児童生徒への対応状況について、4月中旬までに再度報告するよう求めた。
同省は今回の調査とは別に、警察との連携強化に向けた「学校警察連絡協議会」に加入している学校数や、個人情報をやりとりする際に教委と警察が結ぶ協定の状況などについても調べている。これらの結果を踏まえ、対策会議は3月下旬に再発防止策をまとめる。