地下鉄サリン事件から20日で20年になるのを前に、オウム真理教犯罪被害者支援機構(理事長・宇都宮健児弁護士)が14日、東京都内でシンポジウムを開き、約330人が来場した。パネルディスカッションでは「惨劇を繰り返さないために」をテーマに、捜査や裁判などに関わった8人らが体験談や事件の教訓などを語り合い、再発防止を訴えた。
毒性学を専門とする米コロラド州立大のアンソニー・トゥー名誉教授(84)は、地下鉄サリン事件の前年に日本の警察当局からサリンの検出方法について問い合わせを受けていたという。「警察はオウムがサリンを作っているのをつかんでいたようだ。早期に施設を捜索していればオウムをつぶせたのではないか」と話した。
実行犯の一人、林郁夫受刑者に東京地裁で無期懲役の判決を言い渡した元裁判長の山室恵弁護士(67)は「実行役を無期懲役にするのは例外中の例外。相当悩んだ」と振り返った。
被害者の約3割に心的外傷後ストレス障害(PTSD)とみられる症状があるなど、被害者支援機構が実施した健康調査結果も報告された。都内在住の男子大学生(23)は「20年たっても健康被害が続いていると知って驚いた。事件を語り継いでいかないといけない」と話していた。