東洋ゴム工業(大阪市)子会社が製造・販売した免震装置のゴムが性能基準を満たしていない問題で、国土交通省は17日、不適合装置が使われている55棟のうち、自治体庁舎や病院など計15棟の名称と所在地を公表した。同省は同日午後、不適合装置を製造した同社明石工場(兵庫県稲美町)に立ち入り調査を行う。
国交省は55棟の公表を控えていたが、15棟について「不特定多数の出入りがあり、公共性が高い」と判断。一部の建築物で工事が中断し、納入先に動揺が広がっていることなども踏まえ、公表することにした。
公表された自治体庁舎は8府県の計12棟。
問題の免震ゴムが使用された病院は計6棟あり、このうち公立病院の2棟が公表された。他の民間病院4棟については、所有者の同意が得られ次第、速やかに公表するとしている。
複合施設として公表された1棟は、神奈川芸術劇場やNHK横浜放送局が入る横浜市中区の再開発ビル。
残る36棟はマンション、工場、倉庫、オフィスなどで利用者が限られるため、調査の結果、危険性が確認された場合に公表するという。
国交省は東洋ゴムに対し、55棟すべてについて構造安全性に問題がないか、月内に調査するよう指示した。
太田昭宏国交相は17日の閣議後の記者会見で、「不正が発覚したことは極めて遺憾。日本の免震技術に対する信頼を失わせるもので、許しがたい」と指摘。「(利用者の)不安を取り除けるよう早急に取り組んでいく」と述べた。