九州電力と中国電力は18日午前、臨時取締役会を開き、玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)と島根原発1号機(松江市)の廃炉を正式に決めた。島根1号機は運転開始から40年以上が経過、玄海1号機も10月に運転開始から40年を迎える。新たな規制基準を満たすには大規模な投資が必要になり、稼働してもコストに見合わないと判断した。
両社は同日午後、原発が立地する自治体などに廃炉決定を報告する。九州電の瓜生道明社長は佐賀県庁で坂井浩毅副知事と会談し玄海町と唐津市も訪れる予定だ。中国電の苅田知英社長は島根県の溝口善兵衛知事に廃炉を決めた経緯などを説明する。鳥取県米子市など周辺自治体にも役員を派遣する。
九州電の玄海1号機の出力は55万9000キロワットで、再稼働準備が進む川内1、2号機や玄海3、4号機に比べて小さい。新基準に適合するには、燃えやすいケーブルを交換するなど1千億円以上の安全投資が必要で、費用に見合う効果を得られないと廃炉を決めた。
中国電の島根1号機も出力は50万キロワット以下で2、3号機より小さい。同社は今後、1号機の廃炉手続きを進めるとともに、安全審査中の2号機の早期再稼働や、ほぼ完成している3号機の稼働を目指す。
東京電力福島第1原発の事故を受け、原発の運転期間は原則40年間に制限された。関西電力と日本原子力発電は既に3基の廃炉を決定しており、老朽原発の廃炉は合わせて5基となる。