国土交通省が18日発表した2015年1月1日時点の公示地価は、全国の商業地が前年比0.0%の横ばいに持ち直し、7年ぶりに下げ止まった。住宅地を含めた全国平均は0.3%の下落と5年連続でマイナス幅が縮まり、リーマン・ショック後に下げへ転じた09年以降で最も小さかった。
三大都市圏は商業地の上昇率が拡大した
東京、名古屋、大阪の三大都市圏は商業地の上昇率が1.8%と前年の1.6%から拡大。札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢都市も2.7%の上昇で、前年の2.0%から上げ幅が広がった。
景気の緩やかな回復を映し、都市部の商業地は地価上昇への期待が強く、企業や不動産投資信託(REIT)による取引が活発になっている。日銀の大規模な金融緩和で金利が下がり、資金調達しやすくなっていることが背景にある。円安で日本の不動産価格に割安感が強まり、海外勢による買いも活況を呈している。
全国の住宅地は下落率が0.4%と前年の0.6%から縮まった。大阪は0.0%と前年の0.1%下落から改善したが、東京と名古屋の上昇率は0.2~0.3ポイント鈍化。建築コストの上昇や昨年4月の消費増税で住宅着工が落ち込み、住宅地の上昇には一服感が出てきたとの指摘もある。
全国の調査地点のうち、前年より地価が上がったのは467多い7569地点と全体の32.9%を占めた。逆に下落したのは1193少ない1万1186地点で48.5%だった。
今月14日に開業した北陸新幹線で駅周辺の再開発が進むとの期待感から、金沢の商業地は上昇率が17.1%と全国1位だった。住宅地では福島県いわき市の17.1%が全国で最も高かった。原子力発電所の事故で放射線量が高い帰還困難区域から区域外へ転居する人が多く、移転先として受け皿になっているためだ。