住宅地では神奈川県で上昇率が縮小したが小幅。東京23区は昨年から0.1ポイント増え1.9%の上昇に。全ての区が上昇し、千代田区、中央区、港区は上昇率が6%に達した。低金利のほか、20年夏季五輪開催に伴うインフラ整備などへの期待から、大規模マンションの販売が好調だ。埼玉県は東京圏外の地域を含めると横ばい。千葉県は横ばいから上昇に転じた。
■大阪圏
商業地は1.5%上がり、2年連続で上昇した。上昇率は0.1ポイント伸びた。大阪府の上昇地点数は全体の60%弱に広がった。住宅地は14年まで6年続いた下落から横ばいに転じた。
商業地では外国人観光客の増加を反映し、道頓堀の戎橋に近い中央区宗右衛門町の「Luz(ラズ)心斎橋」が11.3%と大阪府内で最も上昇した。「グランフロント大阪」が13年に開業した大阪市北区は6.0%と上昇を続けている。京都市はホテルの開業が相次いだ中京区で4.0%上昇した。
住宅地では阪神間の需要が堅調に推移している。神戸市灘区、芦屋市、西宮市で上昇率が拡大した。
■名古屋圏
前年調査に比べて上昇幅は鈍化したが、商業地は1.4%上昇、住宅地も0.8%上昇した。
商業地では名古屋駅周辺に人気が集まる。特に上昇率が高かったのが、リニア中央新幹線の新駅が計画される名古屋駅西口。今後の開発への期待感から全国で2番目に高い上昇率(16.8%)となった。
住宅地では愛知県日進市や大府市などの上昇率が高い。自動車産業が集積する西三河地域と、名古屋市の中心市街地の双方にアクセスが良く、割安感がある地域に人気が集中している。
■地方圏
商業地、住宅地ともに7割弱の地点が下落したが、仙台市、広島市など拠点都市を中心に、上昇基調が目立つ。
商業地では14日に開業した北陸新幹線の効果を先取りする形で富山市と金沢市がそれぞれ0.6%、1.3%の上昇に転じた。金沢駅西口は全国1位の上昇率(17.1%)だった。住宅地では福岡県が上昇に転換。福岡市(2.2%上昇)は戸建て、マンションともに需要が堅調で全区が上昇した。
東日本大震災の被災地では福島県の住宅地が2.9%上昇。いわき市が帰宅困難区域からの住民の移転需要が強く、郊外の泉もえぎ台の上昇率は17.1%と全国トップだった。
▼三大都市圏の範囲
東京圏は東京都区部全域と多摩地区(奥多摩町、檜原村を除く)、神奈川県の一部(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市など)、千葉県の一部(千葉市、船橋市、市川市、浦安市など)、埼玉県の一部(さいたま市、川越市、川口市、越谷市など)、茨城県の一部(取手市、守谷市など)。
大阪圏は大阪府全域と兵庫県の一部(神戸市、尼崎市、西宮市など)、京都府の一部(京都市、宇治市など)、奈良県の一部(奈良市、天理市など)。
名古屋圏は愛知県の一部(名古屋市、一宮市、岡崎市など)と三重県の一部(四日市市、桑名市など)。
それぞれ首都圏整備法や近畿圏整備法、中部圏開発整備法などの対象地域を指す。