車のリコール(回収・無償修理)を通知するダイレクトメール(DM)の1割が、持ち主に届いていないことが国土交通省の調査でわかった。2015年度は推計約180万台分が届かなかった。転居時に車検証の住所変更をしない人がいるためだ。死亡事故につながる欠陥に対処できないケースもあり、メーカーは対応に苦慮している。
国交省が昨秋、国内の自動車メーカー各社に聞き取り調査を実施。昨年9月までの1年で約100万通を発送したある自動車メーカーでは、9・3%が持ち主に届かず、戻ってきていた。別の会社は、昨年上半期発送分の9・1%が届かないまま。その他の会社も、集計期間にばらつきはあるものの、多くが「1割が届かない」と回答した。
各社が15年度に国交省へ届け出た全リコールの対象車は1899万637台。前年度の2倍で、過去最多を3年度連続で更新した。国交省は今回の調査をもとに、うち約180万台分のDMが届かなかったと推計する。
リコールは、販売後の車に見つかった不具合を無償で改修し、事故を未然に防ぐ制度。メーカーや販売店は、法令に基づいて提供された車検証の情報や、独自の顧客情報を使って持ち主を探し、DMで知らせる。このため、転居時に住所変更を怠り、販売店にも知らせていない場合、DMが届かなくなる。個人情報保護の観点から、住民票など、別の個人情報をもとに持ち主をたどるのは困難だ。
道路運送車両法は、車を持つ人…