「1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選は違憲だとして、弁護士グループが愛知・岐阜・三重の3県の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が20日、名古屋高裁であった。揖斐潔裁判長は、選挙を「違憲状態」だったと判断した。選挙無効の請求は棄却した。
判決を受け名古屋高裁前で「違憲判断」の幕を掲げる弁護士(20日午後、名古屋市中区)
昨年の衆院選を巡っては、2つの弁護士グループが17件の訴訟を全国の高裁・高裁支部に起こしており、判決は「合憲」とした19日の東京高裁に続き2例目。各地の判決が出そろった後、最高裁大法廷が統一判断を示す見通しだ。
今回の訴訟では、2013年の法改正による選挙区定数の「0増5減」に対する評価が最大の争点となった。
総務省などによると、議員1人あたりの有権者数が最も少ない宮城5区との格差は、愛知12区で1.98倍、岐阜3区で1.80倍、三重3区で1.47倍だった。
原告は、昨年12月に実施された衆院選は人口比例に基づいた選挙区割りがされておらず、投票価値の平等に反すると主張。選挙管理委員会側は「法改正時点で最大格差は2倍未満になり、選挙時は2倍をわずかに超えていたにすぎない。国会は(さらに)改革の検討を進めている」と反論していた。
「1票の格差」を巡る訴訟では、12年の衆院選について、広島高裁と同高裁岡山支部が13年3月の判決で「違憲・無効」と判断。最高裁大法廷判決(13年11月)は、国会の裁量権を一定程度認めて「違憲状態」の判断にとどめた。