2014年2月の東京都知事選後に運動員に報酬を払ったとして公職選挙法違反(買収)の罪に問われた元航空幕僚長・田母神(たもがみ)俊雄被告(68)の裁判が10日、東京地裁(家令和典裁判長)で結審した。検察側は「公職の候補者でありながら、安易かつ積極的に買収に及んだ」として、懲役2年を求刑。5年間の公民権停止も求めた。弁護側は改めて無罪を主張した。
田母神被告は「お金を配ったことはなく、共謀もしていない」と起訴内容を否認している。だが、検察側は論告で、「複数の関係者が現金配布に田母神被告の了承があったと証言し、その信用性は高い」と主張。「報酬を与えることを了承しただけでなく、報酬の増額や知人への供与を指示した。責任は極めて重大だ」と述べた。
田母神被告の起訴内容は知事選後の14年3~5月、元選挙対策本部事務局長の島本順光(のぶてる)被告(70)=公判中=と元出納責任者(58)=有罪判決が確定=と共謀し、運動員5人に計280万円を配ったほか、元出納責任者と共謀して島本被告に200万円を渡したというもの。(藤原学思、久保田一道)