関西電力の八木誠社長は20日に東京都内で開いた記者会見で、原子力発電所から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設を「事業者間で共同連携する可能性があり、検討していきたい」と語った。関電など4社は老朽化した原発計5基を廃炉にする。「核のゴミ」の処分方法を決めないと「円滑な廃炉ができない」(八木社長)と具体策作りを急ぐ考えを示した。
電気事業連合会会長としての会見で明かした。中間貯蔵施設は原発で使い終わった燃料を再び燃料として使えるように再処理するまでの間、一時的に保管する施設だ。八木社長は「中間貯蔵施設を造るのは難しい」と指摘。「関電の場合、210自治体に延べ1900回も訪問説明をしているが、なかなか理解を得られない」と説明した。
東京電力と原発専業の日本原子力発電は2010年8月、青森県むつ市に中間貯蔵施設を共同で着工した。八木社長は「個社対応が原則だが、共通の問題を持つ会社との連携は必要だ」とし、同じく廃炉を決めた九州電力や中国電力、日本原電との協力に前向きな姿勢を示した。
廃炉になれば、国から立地自治体に毎年配られてきた交付金がゼロになる。「(原発は)地元の大きな産業。建設から廃炉までトータルで交付金を出すのは必要ではないか」とも語った。
関電の美浜1、2号機(福井県)、日本原電敦賀1号機(同)、九電玄海1号機(佐賀県)、中国電島根1号機(島根県)の5基は小出力で安全投資を回収できないため各社は廃炉を決めた。