【ローザンヌ=久門武史】オバマ米大統領は19日、イランの核問題の包括的な解決を目指し米欧など6カ国とイランが開いている協議について、同国への声明で「この問題を解決する歴史的な機会を逃すべきではない」と訴えた。6カ国とイランは月末までとした枠組み合意に向け、スイス西部ローザンヌで詰めの交渉を急いでいる。
オバマ氏はイラン暦の正月ノウルーズを祝うビデオ声明で、核協議について「進展しているが、まだ隔たりがある」と認めた。その半面、米国とイランの関係改善へ「ここ数十年で最高の時期だ」と強調した。ローザンヌではケリー米国務長官とイランのザリフ外相が交渉を重ねている。
イランの核武装を疑う6カ国は核開発を10年以上制限しようとし、AP通信はイランがウラン濃縮に使う遠心分離機を現在稼働中の約1万基から約6千基に減らす案で調整していると伝えた。
協議に参加したイランのサレヒ原子力庁長官は17日、「技術的な問題の90%は解決された」と述べたが、ザリフ氏は記者団に「交渉は極めて複雑な局面にある」とし、なお隔たりがあることを示唆した。イランが求める経済制裁の解除などで対立は解けていない。
双方は今回の協議を21日まで延長する調整に入ったが、イランのロウハニ大統領の母の死去に伴い、20日で切り上げる可能性が出ている。同国のアラグチ外務次官は国営通信に、25日に協議を再開すると語った。