東日本大震災で被災し、一部区間が不通となっていたJR石巻線(小牛田―女川、44.7キロ)が21日、震災から約4年ぶりに全線で運転を再開した。津波被害を受けた宮城県内の路線のうち、全線復旧は石巻線が初めて。再建された女川駅も同日開業し、女川町は現地で記念式典を開催した。
宮城県女川町の浦宿―女川(2.3キロ)が同日、運転を再開した。同区間は2013年3月に渡波―浦宿が復旧して以降、最後の不通区間として残っていた。津波対策のため、鉄路を敷設する土地を最大で7メートルかさ上げする必要があり、復旧までに時間がかかっていた。
女川町は21日午前、再建された新しい女川駅の開業を記念し、駅前の広場で式典を開いた。竹下亘復興相、村井嘉浩宮城県知事をはじめ、町や県、政府の関係者など約200人が参加。町の住民らも含めると参加者は総勢2300人にのぼり、広場は人で埋め尽くされた。
JR女川駅の開業を記念してくす玉を割る関係者ら(21日、宮城県女川町)
女川町の須田善明町長は「一度(津波で)やられてしまった場所がこのように再建できた。今日は皆さんと喜び合いたい」と感慨深げにあいさつした。竹下復興相も「(女川駅開業と石巻線の復旧により)女川が新しい一歩を踏み出すことができると確信している」と述べた。
町は21日を「まちびらき」と位置付け、今後町中心部の復興を加速させていく。今秋から年末にかけて、駅から女川湾へとつながるプロムナード(遊歩道)が完成し、その脇には商業施設が続々とオープンする予定だ。