第18回統一地方選の幕開けとなる北海道、神奈川など10道県知事選が26日、告示された。地方の人口減に歯止めをかけて地方を活性化する「地方創生」の具体策などを巡り4月12日の投開票に向けて各候補が論戦を繰り広げる。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の浸透が遅れる地方での政権への支持度合いを測る意味合いもあり、選挙結果は後半国会の法案審議や来夏の参院選にも影響を与えそうだ。
北海道知事選が告示され、候補者の演説に拍手する聴衆(26日午前、札幌市)=共同
告示されたのは北海道、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分の10道県。立候補の受付は午前8時半から午後5時まで。29日告示の札幌など5政令市長選、4月3日告示の41道府県議選、17政令市議選とともに投開票日は4月12日だ。後半戦となる4月26日には一般市の市長選や市議選、東京都の区長選、区議選など投開票される。
4年に一度、地方選の投票日をそろえる統一地方選だが、今回は東京都知事選が初めて統一選から外れ、統一地方選として実施する知事選としては過去最少。10知事選すべて現職が出馬し、このうち自民、公明両党と民主党などの与野党対決型の構図となるのは北海道と大分のみだ。
大分県知事選では26日午前、自民、公明両党が推す現職の広瀬勝貞氏(72)が立候補の届け出を済ませた直後、大分市内で「地方創生を大分県から先導する」と第一声を上げた。一方、民主党が支援する前大分市長の釘宮磐氏(67)は「(与党が知事選で敗北した)滋賀、沖縄、佐賀に続いて、大分でも地方の乱となる」と訴えた。
対決型の知事選こそ少ないが、統一地方選は国政にも影響を与える。安倍政権は13年参院選、14年衆院選と連勝したが、知事選などでは与党系候補の敗北が続く。都市部に比べ地方での景気回復のペースは鈍いなど「アベノミクス」の効果の実感が薄いことなどが背景にあるとみられ、地方の支持基盤は盤石とは言い切れない。
安倍晋三首相が悲願とする憲法改正に向けてカギを握るのは来年夏の参院選。与党で憲法改正発議に必要な3分の2に達していないためで、来年夏の参院選での与党勝利を確実にするためには地方での支持基盤が欠かせない。与党は統一地方選を通じてアベノミクスの地方への波及などを訴えての支持基盤強化に全力を挙げる。
一方、国政選挙での敗北が続いている民主党はアベノミクスの失敗や格差拡大、政治とカネの問題などを指摘して、来夏の参院選に向けて反転攻勢のきっかけをつかみたい考えだ。
後半国会は自衛隊の海外での活動を拡大する安全保障関連法案や全国農業協同組合中央会(JA全中)の一般社団法人への転換などを柱とする農協改革法案など、与野党による対決法案の審議が控えている。統一地方選の結果次第では、与党の国会運営にも影響を与える可能性がある。