法務省は、今まで本省で一括して判断してきた難民認定の申請について、全国8カ所の地方入国管理局でも判断できるようにする。昨年1年間の申請者数は初めて1万人を超える見通しだ。「借金取りから逃げてきた」など、明らかに難民に当たらない理由での申請は地方の入管局で不認定とし、審査時間の短縮化を図るという。
同省の規則では、法相だけが難民と認めるかどうかを判断できるとされている。一方で申請は増え続け、1件の審査にかかる期間も長期化。昨年1~3月に平均5・8カ月だったのが、7~9月は平均10・1カ月に延びていた。
こうした状況から、同省は規則を見直し、地方入国管理局長も難民認定の申請に対応できるようにする。明らかに難民条約上の難民に当たらない理由や、不認定となった前回と同じ理由での申請については、地方入管局で「不認定」とする。他方で難民にあたる可能性が高い人や、人道上の配慮が必要な人については本省で判断する。申請の9割を占める東京と名古屋は専門部署を設け、判断基準は統一されるとしている。
同省はこうした見直し案について1日から3月2日までパブリックコメントを実施。集まった意見を踏まえ、6月から実施する。
同省によると、昨年1月から9月末までで難民と認定したのは6人。「紛争から逃れてきた」などの理由での申請に対し、人道的な配慮で在留を認めた人も56人にとどまっている。(金子元希)