2014年に児童虐待の疑いがあるとして全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子供は2万8923人(前年比33.9%増)で、統計のある04年以降最多だったことが26日、警察庁のまとめで分かった。警察が摘発した親などの数も719人(同49.2%増)と最多だった。
110番通報などを受けた警察が児童虐待の疑いのある事案を把握した場合、児童虐待防止法に基づき児相に通告する。04年に962人だった通告人数は増加を続け、13年に初めて2万人を超えた。同庁は「児童虐待に関する社会の認識が高まり、警察への通報自体が増えたため」と分析している。
14年の通告内容の内訳は、児童の目の前で父親が母親に暴力を振るうなどの「面前ドメスティックバイオレンス」を含む心理的虐待が1万7158人(59.3%)で最も多かった。身体的虐待は7690人(26.6%)、育児の怠慢・拒否は3898人(13.5%)、性的虐待は177人(0.6%)。
放置すれば児童の生命や身体に危険が及ぶと判断し、夜間や緊急時で児相が対応できない場合に警察署で保護した児童は2034人だった。12年の1611人、13年の1855人から増え続けている。
警察が摘発した719人のうち、実父が298人と最も多く、実母が158人。養父・継父が149人、内縁の夫が84人だった。
虐待により死亡した児童は20人で過去最少。警察庁は「虐待がエスカレートする前に防止できたケースが増えているのではないか」としている。
虐待が疑われる家庭に児相が立ち入り調査などに入る際、大きなトラブルになるのを防ぐため、児相が警察に援助要請をする場合があり、14年の要請件数は前年より22件多い201件だった。
児童虐待への対応や警察との連携強化などのため、全国の児相には警察官退職者約160人が配置されている。今後は児相と警察による共同の研修も実施していく方針という。