【ジュネーブ=原克彦】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が26日発表した2014年の先進国への難民申請者数は86万6千人と前年より45%増え、22年ぶりの多さになった。シリアやイラクの難民が急増し、受け入れに寛容な欧州に向かっている。日本への申請は5割増の5千人で過去最高に達したが、受け入れでの貢献度は低い。
難民増加は中東での紛争や過激派組織「イスラム国」の影響が大きい。出身国はシリアが最多で約15万人と同2.7倍になり、イラクは同84%増え約6万8千人だった。3位以下のアフガニスタン、「セルビアとコソボ」、エリトリアも6割増~2.2倍だ。中国は7番目で同10%増えた。
申請を受けた国はドイツが17万3千人と最多で、米国が続く。4位スウェーデンは人口1千人に対する申請が10~14年平均で24.4人にのぼる。
日本への申請が少ないのは紛争地から遠いことに加え、「頼れるコミュニティーがない影響もある」(UNHCR)。法務省によると14年に難民認定を受けたのは11人。世界全体では申請者の約4割が認定を受けるが、日本は1%に満たない。
集計はトルコなども含む44カ国が対象だが、ウクライナから約27万人が流入したとされるロシアは含まない。トルコも一時避難とみなすシリア人を除外している。UNHCRは世界全体の難民申請は「百万人を超えているだろう」という。