預金保険機構は27日、民間金融機関が預金者の保護や金融システムの維持のために積み立てている預金保険料率の実行料率を現行の0.084%から2015年度に0.042%と2分の1に引き下げると発表した。引き下げは1971年の制度創設以来初めてで、90年代の金融危機を克服して、日本の金融システムが安定を取り戻した象徴となる。
バブル崩壊後の95年まで0.012%だった預金保険料率は、旧住宅金融専門会社(住専)の処理などを引き金に発生した金融危機を受け、96年度に現行の0.084%まで引き上げられた。その後も97年の北海道拓殖銀行や98年の日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)、日本長期信用銀行(現・新生銀行)など大型の金融破綻が相次いだ。
都市銀行が3メガバンク体制になるなど金融再編が進み、日本の金融システムは安定に向かった。2008年のリーマン・ショックでも国内で大型破綻は発生せず、金融機関の破綻は10年の日本振興銀行が最後となっている。金融機関の負担軽減を受け、預金者や中小企業からサービス向上を求める声が強まる可能性がある。〔日経QUICKニュース(NQN)〕