北海道函館市沖の津軽海峡で27日起きた熊本県上天草市の海運会社「パールライン」の作業船第18明祐(19トン)の転覆事故で、函館海上保安部は28日、転覆した船が見つかってから約15時間後に、船内から甲板員、永田勝行さん(64)=長崎市=を救助した。命に別条はない。
明祐の乗組員は全部で男性4人とみられ、周辺海域で残る3人の捜索を続けている。
函館海保や消防などによると、28日早朝、市内の海岸で男性が遺体で見つかった。27日には船近くの海上で別の男性が救助された後に死亡が確認されており、函館海保は2人が乗組員の可能性があるとみて身元の確認を急いでいる。
函館海保によると、これまでの船内の捜索で、永田さん以外の乗組員は見つかっていない。
永田さんは28日午前5時40分ごろ、船首付近の船底に近い居住区で見つかった。第1管区海上保安本部によると、救助隊員が声を掛けると寒さを訴え、ヘリでつり上げられた後、意識を失った。函館市内の病院で意識が回復し、名乗ったという。
海保の救助隊が27日、船内からものをたたくような音を聞き、閉じ込められた人がいるとみて28日朝から捜索していた。
函館海保によると、28日午前5時現在、現場海域の海水温は8.5度。気温は8.6度だった。
27日夜は荒天のため特殊救難隊や機動救難士が船に接近できず、捜索は難航。巡視船が明祐周辺の捜索を続け、28日午前3時ごろには明祐と明祐がえい航していた台船が切り離されているのを確認した。台船の積み荷は船舶部品という。
明祐は転覆当時、函館港から宮城県・石巻港に向けて航行。最終目的地は横浜港だったという。
長崎市内の永田さんの自宅で取材に応じた妻は「会社から夫が助かったとの連絡が入り、安心した」と話した。〔共同〕