トヨタ自動車は29日、初の個人投資家向けイベント「トヨタインベスターズミーティング2015」を名古屋市で開いた。投資家や学生など約3500人が参加。豊田章男社長による講演や対談などを通じてトヨタの現状や将来の姿を解説した。別会場ではトヨタ車の試乗や、工場などで使われている実際の「カイゼン」技術の紹介も行った。
個人投資家や学生など約3500人が参加した(愛知県名古屋市)
豊田社長は具体的な利益数値には触れず、「もっといいクルマ」作りや「人材育成」などの取り組みについて講演。「こうした指標は数値化できず目に見えにくいが、地道な取り組みが結果として販売台数や営業利益、自己資本利益率(ROE)の向上につながると信じている」と語った。
その後、経理や技術の担当役員、燃料電池車「ミライ」の開発責任者が来場者の質問に答えた。参加した広島県の女性株主(42)は「収益が伸びるかが気になったが、意識的に踊り場を作ることで成長につなげるという戦略の説明がわかりやすかった」と話した。
トヨタの株主数は直近のピークの2012年3月末(66万人)から14年3月末には60万人に減っている。今回のようなイベントで個人との結びつきを強め、ファン株主を増やしたい考えだ。