トヨタ自動車が発売した新型センチュリー。正面中央の「鳳凰」エンブレムの金型は彫金職人が1カ月半がかりで仕上げた=2018年6月22日、愛知県長久手市
皇室や政財界の要人の送迎にも使われる高級車「センチュリー」の新型車両をトヨタ自動車が22日、発売した。全面改良は21年ぶりで、価格はトヨタ車で最高額の1960万円(消費税込み)。「匠(たくみ)の技」を内外装に施し、トヨタのものづくり文化の継承もねらう。
新型車は3代目。塗装は仕上げの磨きも含め1台に40時間をかけ、防音材も手作業ですき間なく組み付ける。車体正面の「鳳凰(ほうおう)」のエンブレムは、職人が1カ月半かけ金型を彫り込んだ。開発責任者の田部正人主査は新型車について「半ば手づくり」と表現する。
車室の快適さにもこだわった。後席にはもみほぐし機能をつけ、ひじ置きのタッチパネルでは音響やカーテン開閉などを操作できる。エンジン音を別の音で打ち消して、室内空間の静けさを保つ機能も載せた。振動が少なく、移動中に新聞や雑誌も読めるという。
5リットルエンジンのハイブリッド車で、燃費はガソリン1リットルあたり13・6キロ。7・6キロだった旧型から大きく改善し、自動ブレーキなどの安全装備も搭載した。その分価格は700万円ほど高くなる。国内専用で販売目標は月間50台。車体色は黒系の「神威(かむい)」、紺系の「摩周(ましゅう)」など4色で、トヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)の専用ラインで生産する。
初代センチュリーは1967年に発売。トヨタグループの祖、豊田佐吉の生誕100年にちなんで命名された。3代目は2017年秋の東京モーターショーに試作車が出品され、18年中の発売が見込まれていた。(山本知弘)