日銀は2日、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で企業の物価見通しを公表した。全規模全産業の1年後の消費者物価指数(CPI)の見通しは、平均で前年比1.4%上昇だった。前回12月調査(1.4%上昇)から横ばいだった。3年後は1.6%上昇と横ばいだった。5年後は1.6%上昇と前回(1.7%上昇)からやや下がった。「5年後」について企業の回答の内訳を見ると、CPI上昇率を「2%程度」「3%程度」と答えた企業が増加したが、「1%程度」と答えた企業も増えた結果、平均が押し下げられた。日銀では「おおむね横ばい」(調査統計局)と見ている。
販売価格の見通しは、全規模全産業で1年後が0.9%上昇と、前回調査から0.1ポイント下がった。3年後は1.7%で横ばいだった。5年後は2.2%上昇と前回から上昇した。業種、規模別に見ると、特に大企業非製造業で3年後、5年後の見通しが大きく上方修正された。人手不足などを背景に販売価格の上昇を見込んでいると見られる。
企業の物価見通しは、日銀が昨年3月の短観から新たな調査項目として追加した。約1万社に対して商品・サービスの販売価格やCPIの見通しをたずねる。日銀が目指す2%の物価目標の達成に向けて、民間の期待インフレ率を調査する狙いがある。
【企業の物価見通し】
今回 12月 9月 6月 3月
1年後 1.4 1.4 1.5 1.5 1.5
3年後 1.6 1.6 1.6 1.6 1.7
5年後 1.6 1.7 1.7 1.7 1.7
【企業の販売価格見通し】
今回 12月 9月 6月 3月
1年後 0.9 1.0 1.1 1.1 1,1
3年後 1.7 1.7 1.8 1.9 1.8
5年後 2.2 2.0 2.1 2.3 2.1
(注)日銀は今回3月調査で、約5年ぶりに対象企業の見直しを実施した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕