百円玉3枚ではもう牛丼は食べられない――。ゼンショーホールディングスは2日、今月15日から牛丼店「すき家」の並盛りを291円(価格は税込み)から350円に引き上げると発表した。原材料と人件費が上昇しているため。吉野家ホールディングスや松屋フーズは値上げで先行しており、牛丼チェーン大手が低価格を競った「牛丼戦争」は風化の気配だ。
吉野家は昨年12月に牛丼並盛りを300円から380円にした
吉野家は昨年12月に牛丼並盛りを300円から380円にした。松屋も昨年7月以降、関東の店舗を中心に従来商品(290円)から380円の新商品に切り替えていた。
すき家も昨年8月に値上げを実施したが、アルバイト店員の不足に伴う深夜営業休止や牛肉の仕入れ価格の上昇で業績が悪化。対応を迫られた形だ。並盛りを含む48種類の商品を値上げする予定で、上げ幅は42~62円になる。
デフレの指標の一つとまで言われた牛丼。大手チェーンは数年前まで並盛り200円台後半で競っていた。しかし原材料の米国産牛バラ肉の価格が3年前に比べ2倍強に上昇。足元では下落しているが、それでも以前の水準からはかなりの高値になっている。さらに人手不足による人件費上昇も加わり、牛丼の値下げ合戦は沈静化している。