犯罪被害者の支援制度に関する警察庁の有識者研究会は2日、一部の県警だけが運用しているカウンセリング費用の公費負担制度を全国に広げることを求める提言をまとめた。より多くの被害者が精神面でのケアを受けやすくするのが狙い。
犯罪被害者が医師や臨床心理士を受診した際の実費を警察が支払う制度で、昨年11月時点で警視庁と5県警が設けている。
研究会は、医師66人と臨床心理士ら156人を対象に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神的ダメージを受けた被害者の治療についてアンケートを実施。医師によるカウンセリングは保険診療が大半を占めたが、臨床心理士らの場合は保険適用外となるため経済的負担から通院できなくなるケースが多いことが分かった。
提言では、殺人や傷害、性的暴行などの被害者や遺族がなるべくカウンセリングを受けやすくなるよう、警察による公費負担制度の全国への拡充を求めた。期間は初診から最長1年間で、受診回数は制限しない。
臨床心理士などの資格を持ち、事件直後に被害者に寄り添って精神的ケアに携わる警察官や警察職員は、昨年4月時点で33都道府県警に配置されている。提言ではこうした「警察部内カウンセラー」を全国に置くことも要点に挙げた。
研究会は臨床心理士や法学者など6人で構成。昨年3月から計5回開催し、協議を重ねた。〔共同〕