日銀は2日、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)の企業の物価見通しを公表した。5年後の消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しは、回答企業約1万1千社の平均(全規模全産業)で前年比1.6%と、昨年12月の前回調査から0.1ポイント低下した。5年後の見通しが低下するのは初めて。1年後と3年後も含め、製造業の見通しの低下が目立った。
企業の物価見通しは昨年3月調査から導入し、今回で5回目。消費税率引き上げなどの影響を除いて1年後、3年後、5年後のCPIの前年比上昇率の見通しを尋ねている。調査期間は2月25日~3月31日。
日銀は物価上昇率2%の安定的な持続を目指して大規模な金融緩和を実施している。だが、原油安などを受け、製造業を中心に企業の物価見通しは日銀の目標にとどいていない。
全規模全産業の見通しは、1年後が1.4%、3年後は1.6%とともに前回と同じだった。製造業は大企業で1年後と5年後の物価見通しが0.1ポイント低下。中小企業では1年後が0.2ポイント、3年後と5年後が0.1ポイントそれぞれ下がった。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「国内の需要の弱さが物価見通しの低下につながった」とみる。
一方で販売価格の見通しは底堅い。全規模全産業でみると、5年後の販売価格は現在と比べて2.2%上昇と、前回から0.1ポイント拡大した。