パイロット養成課程を設けている崇城大(熊本市)はジェット旅客機の操縦席を模したフライトシミュレーターでの訓練を4月から本格的に始めた。大学によると、教育機関で旅客機のシミュレーターを導入するのは全国で初めて。
格安航空会社(LCC)の増加に伴いパイロット不足が指摘される中、養成課程のある桜美林大(東京)が訓練の不備を国土交通省から指摘され、国の養成施設の指定を3月に返上している。崇城大はシミュレーターを使った臨場感のある訓練で学生の技術向上につなげたい考えだ。
導入したのは、大手航空会社で採用されている米ボーイング社B737―800型機の専用シミュレーター。操縦席や計器類は実物と同じ配置になっており、音や震動も再現できる。前方のスクリーンに映し出される国内外の空港と周辺の様子を見ながら操縦する。風速や天気など気象条件も変えられるという。
訓練は工学部のパイロット養成課程で実施。小型機免許を取得した学生を対象に、航空会社で長年ジェット機の機長を務めた元パイロットが教える。崇城大航空機操縦訓練本部長の渡辺武憲教授は「経験者から直接学ぶことで、実践的な技術を身につけてほしい」と期待している。〔共同〕