【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)は8日、3月17~18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。利上げ開始の時期を巡り、参加者の意見が「6月」「今年後半」「来年」の3つに割れていたことがわかった。イエレン議長は最近の講演で「今年後半」という表現を使っており、これがいまの主流派とみられる。
FRBが公表した議事要旨によると、利上げの時期を巡って3つの意見があることがわかった=ロイター
FRBは3月のFOMC声明で、利上げに「忍耐強くなれる」という一節を削除した。景気や物価の動向を見極めながら、利上げに動く布石を打ったといわれる。
議事要旨によると、ドル高や天候不順の影響もあって米経済の成長ペースはやや鈍化しているものの、緩やかな景気回復が続くとの見方で一致した。雇用改善の動きが途切れず、物価の上昇率が前年比2%の目標に近づくという確信が得られれば、利上げを開始できるとの判断を示した。
20人弱の参加者のうち数人は様々な指標をみる限り、6月のFOMCで利上げに動くことが正当化されるだろうと指摘した。残りの多くは原油安やドル高で低い物価上昇率が長引くことを懸念し、今年後半まで状況を見極めるべきだと主張した。来年まで待つよう求めた参加者も2~3人いたという。
FRBのイエレン議長は3月27日の講演で「米経済の回復が続けば、今年後半にかけて利上げが適切になり得る」と語った。市場では9月以降の利上げ開始を見込む向きが増えている。
ただ今月3日に発表した3月の雇用統計が伸び悩み、景気回復のもたつきを懸念する声も出ている。米ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁は8日、利上げ開始の時期について「やや先送りと考えるのが妥当かもしれない」と語った。