2020年東京五輪・パラリンピックの開催などで外国人観光客らの増加が見込まれることから、総務省消防庁は10日までに、全国の救急隊で外国語を使って救急対応ができる技能を向上させる方針を固めた。外国語が話せる救急隊員を育成したり、多言語音声翻訳システムの導入に取り組んだりする。
真夏の大会で日本の気候に慣れない外国人観光客らが熱中症になることも想定し、イラストを使ったボードを活用して意思疎通ができるようにするなどの工夫も進める。
むやみに頭に触れてはいけないなど、文化や宗教の違いによるトラブルの懸念もあるため、有識者検討会で今後、具体策を話し合う。
消防庁は、語学などの研修を受けた隊員で構成し、外国人が多い地域に配置されている東京消防庁の「英語対応救急隊」を参考に、全国各地に同様の救急隊の設置を促す考えだ。
また、簡易な方法として人間の体や症状をイラストに描き、患者が指さすだけで症状を伝えることができる「コミュニケーション支援ボード」の活用や、熱中症予防の外国語パンフレットの作成も検討している。
多言語音声翻訳システムは、情報通信研究機構が開発し、日英中韓などの旅行会話を翻訳できる。今後、医療や防災に対応分野を拡大、救急車に端末を積み込むことも議論する。
このほか、スマートフォンで音声を使わず、画面上でタッチするだけで119番など緊急通報ができるアプリの開発なども進める。〔共同〕