15年ぶりに日経平均株価が2万円を一時上回り、市場では株高の持続への期待感が高まっている。企業業績の回復と投資マネーの流れが重なり、年内にさらに1割程度の上昇が見込めるとの強気論も広がる。一方で利上げへの歴史的転換点が迫る米金融政策や中国経済失速、中東発の地政学リスクなど海外の不透明材料もあり、株高定着には課題も残っている。 「2万円乗せは通過点だ」。野村ホールディングスグループ最高経営責任者の永井浩二氏は10日、株高の持続に自信をのぞかせた。菅義偉官房長官からは「政権発足から2年で、よくここまできた」と感慨深げな言葉も漏れ、大台接近に市場の内外のムードは明るくなっている。 機関投資家など株式市場関係者に年内いっぱいの日経平均の見通しを聞いたところ、足元の水準(10日終値で1万9907円)から1割程度の上昇余地を見込む予想が多かった。 強気論を支えているのは企業の稼ぐ力だ。主要証券会社や調査機関などは2015年度の2ケタ増益を見込む。2000年前後のIT(情報技術)バブル時とは違い、株価指標などからみた割高感を指摘する声はあまり聞かれない。 国内外から盛り上がる「日本買い」の流れも大きい。公的年金は国内債券から日本株に運用資金を移している。日本企業が資本効率重視の経営にかじを切り始めたのを機に、海外投資家の関心も高まっている。 とはいえ、一本調子の上昇を期待するほどの楽観論は広がってない。早期に大台を回復しても、2万円台の定着には「もう少し時間がかかる」(富国生命保険の山田一郎氏)と慎重論は根強い。 投資家などが当面の懸念材料にあげるのが4月下旬から本格化する3月期企業の決算発表だ。なかでも注目されるのが、経営者の自信を示す企業の今期業績見通しだ。慎重な業績予想が提示され、2ケタ増益という市場の期待値との開きが顕在化すれば、投資家の失望を招きかねない。 海外に目を向けると、米国の利上げの行方が波乱の芽となる。最短6月とされる米利上げが現実になれば、世界の投資マネーの流れが変わり、世界的に株式などリスク資産の価格が大きく揺さぶられる可能性がある。日本株にも波及は避けられないだろう。 逆に米景気の減速が深まり、利上げができなくなるのもリスクだ。緩和長期化で米国の金利水準が切り下がり、「円安進行が止まって日本企業の業績改善にブレーキがかかる」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一氏)からだ。米消費の縮小は企業業績にもマイナスに働く。どちらに転んでも、米利上げは大きなリスクになりうるわけだ。 中東情勢の悪化やギリシャのユーロ離脱など不安定な世界情勢への警戒もくすぶる。第一生命保険の岩渕康哉氏は「グローバルにリスク回避姿勢が強まると、安全通貨である円は買われやすくなり、日本株に悪影響を及ぼす」と話す。 |
株高継続、強気論も 日経平均一時2万円
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