【パナマ市=宮本英威】米州首脳会議が10日夜(日本時間11日午前)、中米パナマで開幕した。これまで米国の意向で除外されていたキューバが初めて参加した。米国とキューバの国交正常化交渉が進むなか、反米国も目立つ米州域内の融合を進める場にできるかが焦点となる。
10日、米州首脳会議に出席したキューバのカストロ国家評議会議長(2列目左端)とオバマ米大統領(2列目右端)=AP
11日までの日程で開く。今回の会議では、域内の関係強化のほか、米国とキューバの国交正常化交渉について、各国首脳がどのような見解を述べるかが注目点となりそうだ。
キューバは革命後の1962年に米州機構(OAS)の除名処分を受けたため、米州首脳会議にこれまで参加していなかった。ただ反米国のベネズエラやニカラグアに加え、中立的な国の間でも参加を求める声が増加。2009年には除名が解除され、今回は議長国パナマが招待した。
パナマのバレラ大統領は開幕式典で、米州の「すべての国の代表者がいる歴史的な会合だ。社会体制は違うが、課題への解決の道を共に探りたい」と述べた。
09年や前回12年の首脳会議では、キューバの参加を拒む米国に対し、中南米諸国が反発。全員一致での共同宣言を採択できなかった。今回、どのような宣言をまとめるかも注目される。
ただ足元では、米国と産油国ベネズエラの関係が悪化している。米国は3月、人権侵害を念頭に、ベネズエラの政府高官7人に対して米国にある資産凍結などの制裁を発動した。マドゥロ大統領は強く反発しており、域内国に米国の制裁反対への署名協力を呼びかけている。
今回のサミットでは「公平な繁栄」がテーマ。10日は開幕式と夕食会が開かれ、11日には各国首脳が演説を行う。
▼米州首脳会議 米州機構(OAS)加盟国のサミット。米州大陸とカリブ海の計35カ国が参加する。米国が主導する形で1994年に始まった。3年程度に1回開かれており、今回が7回目。域内の安全保障、エネルギー、環境、貧富の格差是正、人権といった共通課題について話し合う。現在は頓挫したが、発足当初は米州自由貿易地域(FTAA)の創設も目指していた。