ミネベアの2015年3月期の連結営業利益は、前の期比86%増の600億円前後になったもようだ。従来予想(585億円)を上回り、17年ぶりに過去最高を更新した。スマートフォン(スマホ)向け照明部品と自動車用の小型軸受け(ベアリング)の販売が大きく伸びた。スマホと自動車という2つの成長分野で収益源を持つ強みを発揮した。
期初予想の営業利益は365億円だったが、期中に会社予想を3度上方修正した。今回も含めると4度目の上振れとなる。従来の営業最高益は1998年3月期の588億円だった。
前期の売上高は35%増の5000億円程度と、これも過去最高となったようだ。最大のけん引役はスマホの液晶を照らす発光ダイオード(LED)バックライトだ。同社製品は薄型で省電力が特徴。米アップルや中国の小米(シャオミ)など大手スマホメーカーが採用しているとみられ、特に高級機種向けが多い。
需要拡大を受け、前期はLEDバックライトの生産能力を前の期に比べ4割増やした。LEDバックライトを含む電子機器事業の部門営業利益は前の期の2倍以上に増え、連結営業利益の4割程度を占めたとみられる。
ベアリング事業も好調だった。日本や欧州の自動車メーカーから受注が拡大した。主にタイ工場で生産し、欧米にある顧客工場に出荷している。前期の販売個数は過去最高を更新したようだ。
年間配当は前の期比4円増の12円とする従来予想を据え置く。当面は設備投資やM&A(合併・買収)に優先的に資金を振り向ける考えだ。
16年3月期もLEDバックライトやベアリングの販売は引き続き伸びるとみられ、増収増益が続く公算が大きい。