【ソウル=小倉健太郎】韓国の旅客船セウォル号が沈没し、304人が死亡・行方不明となった事故から16日で1年となった。韓国政府は同日、「国民安全を誓う大会」を開いた。
国民安全庁の朴仁鎔(パク・インヨン)長官が李完九(イ・ワング)首相のメッセージを代読し、安全確保に向けて政府と国民の協力が重要だと強調。「それこそがセウォル号の犠牲を永遠に忘れないことだ」と述べた。
韓国国内では、政府が事故1周年の行事で犠牲者追悼ではなく事故や災害の安全に焦点を当てたことを批判的に見る向きもある。遺族らは15日から慰霊祭を実施。なお9人が行方不明ということもあり、船体引き揚げや徹底的な原因究明を求めた。政府によると16日には全国120カ所以上で自治体や民間団体が関連行事を予定している。
セウォル号は過積載や操舵(そうだ)ミスなどが重なって韓国南西部の珍島沖で沈没した。修学旅行中の高校生ら476人の乗員乗客がいた。船長らが十分な救助をせずに脱出したほか、海洋警察など政府の救助活動の不備も被害を拡大させたとみられている。