広島空港でアシアナ航空機が着陸に失敗し滑走路から外れた事故で、約15分前に全日空機がアシアナ機と同じ東方向から、同じ方式で着陸していたことが16日、国土交通省への取材で分かった。運輸安全委員会は、アシアナ機の着陸直前に視界が急激に悪化、操縦士が変化に対応できなかったり、人為的ミスがあったりした可能性もあるとみて、回収したフライトレコーダー(飛行記録装置)などを解析して当時の状況を調べる。
国交省によると、全日空機は午後7時51分に着陸。それまでの約3時間半の間に、この全日空機を含め8機が同じ東方向から着陸していた。うち7機は、「RNAV方式」と呼ばれる、全地球測位システム(GPS)のデータを使って進入する方式を使っていた。
西側から進入する場合は、より精密に旅客機を誘導する計器着陸装置(ILS)を利用できるが、風向きなどから東側から着陸していた。
関西航空地方気象台によると、滑走路付近の視界は午後8時3分ごろまで1800メートル以上あった。その後、霧で急激に悪化し、発生時刻の5分ごろには300~400メートルになっていた。
滑走路は16日も再開のめどが立たず、30便以上が欠航を決めた。県警は現場検証を続行。運輸安全委も調査を続けた。
アシアナ機は直前まで無線による交信の異常はなかったことが既に判明。運輸安全委は韓国人の機長と副操縦士のほか、客室乗務員や管制業務に当たっていた5人からも事情を聴く。
運輸安全委は着陸直前に下降気流があった可能性を指摘している。〔共同〕