【ロンドン=小滝麻理子】北欧のフィンランドで19日、任期満了に伴う議会選(一院制、定数200)が投開票された。同日深夜(日本時間20日朝)時点までに、元IT(情報技術)企業経営者のシピラ党首率いる中道の野党・中央党が第1党となり、4年ぶりの政権交代が確実となった。
フィンランド放送協会による最終的な獲得予想議席数は、中央党が2011年の前回総選挙から14増の49議席へと躍進。欧州連合(EU)に批判的なフィン人党が38議席で続く。4党連立を率いるストゥブ現首相の中道右派の与党・国民連合は37議席にとどまる。
シピラ党首は「今後10年かけて経済競争力を取り戻す」と勝利宣言した。同党首は今後、首相候補として約1カ月かけて連立交渉に入る。初の政権入りの可能性があるフィン人党は、ユーロ圏の南欧支援に反対し、ギリシャはユーロ圏から離脱すべきと主張する。フィンランドは従来ギリシャ支援に対し厳しい態度だったが、強硬姿勢がさらに強まる可能性もある。
選挙戦では経済再建が一貫して争点になった。フィンランドは大手通信機器メーカー、ノキアなどの不振から、過去3年間景気が後退し、失業率も約9%に上昇した。実業家から政治家に転じたシピラ氏は、ストゥブ首相が進めた大幅な支出削減策を批判。雇用拡大策や増税の打ち切りなどを訴え、支持を伸ばした。