独協医大越谷病院(埼玉県越谷市)は20日までに、精子がない男性不妊患者から精巣の一部を採取し、体外で培養して精子に育てる臨床研究を開始した。既に培養を始めている。 研究代表者の岡田弘主任教授(泌尿器科)によると、体外で精巣組織から育てた精子を使った出産は2011年にマウスで成功例があるが、人間での報告はない。今回の研究では精子に育っても廃棄するが、将来的には無精子症の不妊男性も子どもが持てる治療法の開発を目指す。 不妊に悩むカップルは10組に1組程度とみられ、そのうち半分は男性に原因があるとされる。岡田さんは「精巣を刺激するホルモンを体に投与する治療以外の新たな戦略の一つになり得る。放射線治療などで精巣機能が低下する小児がん患者が、将来自分の子どもを持つ可能性にもつながる」と話す。 臨床研究の対象は、精子の成熟が何らかの原因で止まる無精子症の患者20人。越谷病院では、精液中に精子がない不妊患者の睾丸(こうがん)から精子を見つける目的で精巣組織を取り出す手術を年間約150件行っている。そのうち精子が全くない患者の参加を募り、手術で取り出す組織の約5分の1に当たる50ミリグラムの提供を受ける。 採取する精巣組織には、精子のもととなる精原細胞や精子を育てるセルトリ細胞などが詰まった精細管が含まれる。培養液入りの皿の寒天に組織を載せ、4~5週間後に精子ができるか評価する。院内の倫理委員会が3月に承認した。〔共同〕 |
独協医大病院、不妊患者の治療法開発へ
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