財務省が22日発表した3月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2293億円の黒字(前年同月は1兆4501億円の赤字)だった。2年9カ月ぶりに貿易黒字に転じた。QUICKがまとめた民間予測の中央値(479億円の黒字)を上回った。米国向けの自動車輸出などが伸びたうえ、原油価格の下落で輸入額が減った。
輸出額は前年同月比8.5%増の6兆9274億円と、7カ月連続で前年実績を上回った。主な増加品目は自動車や半導体等電子部品、金属加工機械。地域別では米国向けが21.3%増で、自動車や原動機、建設用・鉱山用機械の増加が目立った。欧州連合(EU)は英国向けの自動車などが伸び9.1%増だった。中国を含むアジア向けは、半導体等電子部品の増加などで6.7%伸び、輸出額は3月として過去最大。対中国のみの輸出額は3.9%増で、3月としては2番目の高水準だった。輸出全体の数量指数は前年同月から3.3%増え、2カ月ぶりにプラスとなった。
輸入額は14.5%減の6兆6981億円と、3カ月連続で減少した。原粗油の輸入額は50.7%減と、8カ月連続のマイナスとなった。前年同月は14年4月の消費増税前に駆け込み需要に対応するための輸入が増え、この反動も出た。
地域別の輸入額をみるとアジアは10.7%減で、うち中国からは19.6%減った。2月の春節(旧正月)に生産活動が停滞した影響で、中華圏から完成品などの輸入が減った。輸入全体の数量指数は10.3%減り、2カ月ぶりに前年実績を下回った。為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=119円86銭と、前年同月と比べ17.2%の円安だった。
同時に発表した2014年度の貿易収支は9兆1343億円の赤字(13年度は13兆7563億円の赤字)だった。年度ベースの赤字は4年連続。原子力発電所の稼働停止に伴い、火力発電向けの燃料輸入量が膨らんだ影響が残った。ただ、14年度後半から原油安の影響で収支が改善傾向となり、単年度の赤字幅は、過去最大だった13年度の約3分の2に縮小した。
輸出額は5.4%増の74兆6709億円と、2年連続のプラスだった。自動車や金属加工機械などの品目で増加した。国別では、米国(7.6%増)やEU(6.4%増)、中国含むアジア(5.0%増)などで前年実績を上回った。輸出全体の数量指数は1.4%増えた。
輸入額は1.0%減の83兆8051億円だった。原油安で中東からの原粗油の輸入が減り、前年度実績を5年ぶりに下回った。一方、円安で円建ての金額が膨らんだ影響もあり、EUからは1.5%増、中国を含むアジアは2.8%増(中国のみでは3.2%増)と、いずれも過去最大となった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕