厚生労働省のモデル事業として、患者が死亡した医療事故の原因究明調査を手掛けてきた「日本医療安全調査機構」(東京)のアンケートで、調査対象事例に関わった主治医ら医療関係者の9割以上が「モデル事業を利用してよかった」と回答していたことが23日までに分かった。主な理由としては「死因が判明したこと」などが挙げられた。
同機構は2005年から今年3月までの10年間に、主に12都道府県で239事例の事故調査を実施。東京都内で22日に開かれた運営委員会で、モデル事業を総括する中でアンケート結果を紹介した。
アンケートの対象は10、11年度に機構側が事故調査結果について説明した56事例の医療関係者らで、回答したのは医療安全管理者が31人、主治医または担当医33人。
モデル事業については医療安全管理者の100%と主治医の90%が「利用してよかった」と回答。主治医が挙げた理由は「公平な調査だった」「専門的な死因の究明」「遺族への情報提供」「専門的な医療評価」など。
一方、調査報告書に関しても、主治医の90%が「開示されても構わない」と回答。主な理由として「情報を(患者側と)共有して、再発防止策に役立てることが望ましい」とした。
今年10月に始まる医療事故調査制度では、対象とする医療事故かどうかを当該医療機関の管理者が判断する。同機構は、新設する第三者機関に判断を支援するための相談窓口をつくるよう提言。「遺族と医療機関が事実を共有するためにも口頭だけでなく報告書の交付が望ましい」としている。〔共同〕