患者の死亡事故があった東京女子医大病院(東京・新宿)と群馬大病院(前橋市)について、厚生労働省は24日までに、高度医療を提供する特定機能病院の承認を取り消す方針を固めた。塩崎恭久厚生労働相は同日の閣議後の記者会見で両病院について「医療安全管理に重大な問題があり、ガバナンス(管理運営)の仕組みが機能していないことが分かってきた」と述べた。
厚労省の社会保障審議会医療分科会は、両病院の特定機能病院の承認について「取り消し相当」との意見を近くまとめる見通し。厚労省は病院側から意見を聴いたうえで処分を決める。
東京女子医大病院では昨年2月、首の手術を受け集中治療室(ICU)で鎮静剤「プロポフォール」を投与された男児が死亡。プロポフォールは添付文書の禁忌事項として、ICUで人工呼吸中の子供への投与が禁止されていた。
群馬大病院では2010~14年に同じ医師による肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術で術後4カ月以内に8人の患者が死亡したが、原因などを検証する検討会が開かれていなかった。
社保審医療分科会のこれまでの審議で、委員から「再発防止策が不十分」「病院の管理運営が機能していない」などの厳しい意見が出ていた。両病院の承認が取り消されれば3、4例目。東京女子医大病院は02年に続いて2度目となる。
ほかにも精神保健指定医資格の不正取得が発覚した聖マリアンナ医科大病院(川崎市)、生体肝移植手術を受けた4人が死亡した神戸国際フロンティアメディカルセンター(神戸市)など医療機関で相次ぎ問題が発覚している。塩崎厚労相は「(医療機関の)医療の安全への取り組みを厚労省として見ていく」と述べた。