経済産業省は27日、中長期的な産業政策の方向性を示す2050年ビジョンをまとめた。人口減少による労働力不足を補うために外国人材の受け入れ拡大を検討するよう提言した。経済連携の強化や人工知能(AI)の活用も含めた9分野を重点課題と位置づけ、政策立案につなげていく。
同日の産業構造審議会で示した。宮沢洋一経済産業相は「大量生産・薄利多売から、少量生産・高付加価値の経済に変えなければならない」と強調。日本や世界の構造変化を見据えた政策対応が必要との認識を示した。
ビジョンは英米やシンガポールに比べ、日本は外国人労働者の受け入れが「圧倒的に少ない」と指摘。50年時点の1人あたり国内総生産(GDP)は497万円でとどまるのに対し、外国人の流入増や女性・高齢者の活用を組み合わせると541万円に増えると試算した。
その上で受け入れに伴う治安や教育上の課題などにも向き合いつつ、外国人材をどの程度活用するか早急に結論を得るべきだとした。
ロボットや宇宙、サイバー空間など新たな技術分野では国際的なルールづくりに関与する重要性を訴えた。将来的に経済規模が日本を大きく上回ると見込まれるインドとの連携の必要性も示した。貿易・投資分野に加えて、国際課税や競争政策などでも先進国を中心に公正なルール作りを進めるべきだとした。