【ニューデリー=黒沼勇史】25日に大地震が起きたネパールで被害者数が増えている。インドなど隣接国を合わせた死者は27日時点で3800人を超えた。中国などの救援隊が続々現地入りし、捜索・救援活動の輪が広がる。国際通貨基金(IMF)は金融支援が必要かを判断する専門家をネパールに派遣する用意があると表明した。
生存者を探すネパール警察とボランティアの人々(27日、カトマンズ)=ロイター
ロイター通信は27日、ネパール当局などの話として、同国での死者が3726人に達したと報じた。隣国ではインドで72人、中国で20人、バングラデシュで4人が死亡した。
ネパール政府は同国での死者が1万人に上るおそれがあるとしている。過去最多の8500人が死亡した1934年の地震を上回る災害になる可能性が出てきた。25日にマグニチュード(M)7.8の地震が起きた後も、M4~5の余震が27日まで続いている。
不足する飲料水や食糧の提供や行方不明者の捜索に協力しようと、他国の救援隊が相次いで現地入りしている。
中国国営の新華社によると、中国からは捜索・救助隊62人が26日に到着したのに続き、27日には医療班58人が現地入りした。インドは25日から毛布など支援物資をネパールに運び入れ、救助活動を展開。空軍機12機を往復させ27日までに2千人のインド人をネパールから帰国させた。
首都カトマンズの空港では、余震で管制官が避難したり悪天候に阻まれたりし、救援隊の航空機が時間通りに離着陸できない状況も生じている。日本の国際緊急援助隊の救助チームも27日午後、カトマンズに着陸できず、インド東部のコルカタの空港に一時着陸した。
今回の震災は人口で最大のカトマンズ、2位のポカラ、3位のパタンと三大都市を直撃した。ネパールの国内総生産(GDP)は約190億ドル。「経済損失はGDPの20%を超える」(米調査会社IHS)との見方もある。
IMFのラガルド専務理事は25日「経済情勢の評価と金融支援を決めるチームをすぐにでもネパールに送る用意がある」との声明を発表した。インド事務所は「救助や人道支援に区切りが付いた後に金融支援を考える」としている。アジア開発銀行(ADB)は27日、緊急支援として300万ドル(約3億5800万円)を無償供与すると表明した。