【カトマンズ=共同】ネパール中部の大地震では脆弱な建物の崩壊に加え、世界最高峰エベレストで発生した雪崩によって多くの死傷者が出た。首都カトマンズ各地の病院では28日までにエベレストのベースキャンプで負傷した被災者が次々と搬送され、余震が続く中で懸命の治療が行われていた。
「立っていられないほどの揺れだった」。カトマンズ東部の病院の集中治療室(ICU)で27日夜、札幌市清田区の小幡友子さん(50)が疲れ切った様子で話した。骨折した左足などには包帯が巻かれている。
小幡さんは3月中旬に日本を出発し、カトマンズを経てベースキャンプに滞在。中国やオーストラリアの人たちと十数人で登っていたという。
小幡さんは「その後は救助され、ヘリコプターを乗り継いで運ばれた。よく覚えていません……」。時折発生する余震で床や壁が揺れる同病院。夜遅くまで巡回していたネパール人医師は「(小幡さんの)容体は安定している」と話した。
カトマンズの病院はどこも次々と死傷者が搬送され、一部は屋外で治療を受けている。27日までに負傷者約千人を治療したという中心部の国立外傷センターのガネシュ・グルン医師は「設備は不十分だ」と頭を抱えながらも、「生き残った人たちのため、最善の努力をするつもりだ」と力を込めて話した。