青い光の中で育成される「雪嶺茸(ゆきれいたけ)」=福岡県大木町
キノコの産地と言うと長野や新潟が頭に浮かぶが、実は福岡はその両県に次いで県別の生産量が全国3位の「キノコ王国」。中でも生産額が年26億円を超え、西日本有数の産地とされるのが大木町だ。人工培地を使った施設での菌床栽培が広がり、ブランド化された珍しい品種のキノコが次々と生み出されている。
大木町は県南部、筑後平野に位置する人口1万4500人ほどの町。キノコを連想させる森や山は見当たらない。クリークや田んぼ、住宅が点在する地域に、町でキノコ生産に取り組んだ農事組合法人第1号の「きのこの里」がある。ここで生産されているのが、国内で初めて人工栽培に成功した中国・新疆ウイグル自治区原産という白いキノコ「雪嶺茸(ゆきれいたけ)」だ。
技術部長の北島良信さん(59)に開発の経緯を聞くと、キノコ研究者でもある北島さんが15年以上前に中国・上海で食べた料理が出発点だった。「コリコリとした食感で、アワビだと勘違いした。こんなおいしいキノコなら、栽培しなければと思った」。試行錯誤の末、3年かけて原産地で生育する自然の温度環境を再現。2009年には栽培方法の特許も取得した。
栽培室に入ると、米ぬかや小麦…