（１５日、高校野球 花咲徳栄６―３樟南）

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花咲徳栄（埼玉）は今大会屈指の左腕、高橋昂也君（３年）のチームと言われてきた。１５日の樟南（鹿児島）戦も高橋君が要所を締め、完投して勝った。だが、その後ろには「高橋を一人にさせない」と支えてきた、幼なじみで主将の岡崎大輔君（３年）がいた。

高橋君は寡黙で何を考えているかわからないと、よく周囲に言われる。だが、マウンドの高橋君を遊撃手として見つめてきた岡崎君は「背中を見れば何を考えているかわかる」という。

中学時代からずっと一緒にプレーしてきた。ほかの強豪校からもいくつも誘いを受けた高橋君だが、岡崎君が進学する花咲徳栄を選んだ。

昨秋の新チーム発足直後、バッテリーを組む野本真康君（３年）は悩んでいた。考えた配球を高橋君にことごとく首を振られた。意思の疎通が当初とれなかった２人の間に岡崎君が入り、配球を一緒に考え、バッテリー間の会話が増えるように気配りした。

春の選抜大会後、高橋君がけがをした。高橋君なしで臨んだ春の県大会は決勝で敗れた。「俺たち、高橋におんぶに抱っこになっていないか」。野手全員が毎日１時間欠かさずノックを受け、失策ゼロを目指した。

樟南戦は試合を優位に進めていた。だが、九回に２点を返された。すでに１４０球を投げ、苦しむ高橋君。後ろにいる野手がみんなで両手を広げるポーズをとった。「高橋をみんなで守ってやる」。それを伝えたかった。その後、高橋君は次の打者を三振にしとめ、最後の打者の打球は岡崎君がさばいて試合終了。３回戦に進んだ。

「片思いかもしれないけど、高橋が好き。勝って一緒に泣けたら一番幸せです」と岡崎君。高橋君は「そんなこと思ってないでしょ」とはにかみつつ、「自分も好き。一戦必勝で進み、いい形で終われたらいいな」と返した。（小笠原一樹）