日銀は1日、2013年4月に導入した異次元緩和で消費者物価指数(CPI)が0.6%上昇したとの分析リポートをまとめた。長期国債の大量購入で長期金利が低下したうえ、日銀が物価上昇に強い決意を示すことで人々の物価見通しが高まったとしている。ただ目標とする2%の物価上昇には届いておらず「さらなる予想物価の上昇が必要だ」という。
リポートは13年1~3月と14年10~12月の経済情勢を比較した。日銀は名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利を下げることで経済を刺激し、物価上昇につなげることを狙っている。長期金利は0.7%から0.4%へと低下した一方、日銀の推計などから予想物価上昇率は0.5%程度上昇したと判断。実質金利は0.8%程度低下したと推計した。
過去の経済指標の傾向などをもとに実質金利が0.8%低下すると、CPIを0.6%押し上げるほか、実質国内総生産(GDP)を6兆円高める効果が期待されるという。
ただCPIの上昇率は今年に入って0%にまで鈍化したほか、GDPの伸びは昨年10~12月の実績で1兆円しか増えていない。民間エコノミストの間では「金融緩和がどのように物価上昇や景気回復に波及しているのか判然としない」(みずほ証券の上野泰也氏)との指摘もある。